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 北海道大学大学院水産学研究院
 海洋生物学分野 教授
 今井一郎 (いまいいちろう)
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エッセイ(PLO通信より)
ご挨拶と近況ご報告 (2015年3月)
ご挨拶と近況ご報告 (2014年3月)
ご挨拶と近況ご報告 (2013年3月)
ご挨拶と近況ご報告 (2012年3月)

ご挨拶と近況ご報告 (2011年3月)
着任のご挨拶と近況ご報告(2010年3月)
<メッセージ>
 海は地球上の地表の71%を占め,平均水深は3,729m,その海の至る所にプランクトンは生息しています。植物プランクトンは基礎生産者として,海域の全生物の生産を支える根元的に重要な役割を演じ,動物プランクトンは,食植者が植物プランクトンを捕食し,そしてより高次の動物へと物質を転送するという重要な役割を果たします。食糧生産という水産的な観点から,これらの浮遊生物の特性は極めて重要であることは論を待たないでしょう。目立たないが,プランクトンは海洋生態系の立役者であります。
 環境問題を考えると,先ず第1に沿岸域の富栄養化に伴って植物プランクトンが大増殖した結果発生する赤潮の問題が挙げられます。都市部に人口が集中し,様々な人間活動の結果,リンや窒素といった富栄養物質が沿岸に流入して発生します。これは途上国でも先進国でも共通に発生することから,地球環境問題と認識されます。また赤潮に関連して,増殖後に動物プランクトンに捕食されずに沈降した植物プランクトンの分解に伴って酸素が消費され,底層が無酸素化するのも,沿岸の生態系に破壊的な悪影響をもたらします。
 地球温暖化においては,プランクトンがその解決のキーを握っています。基礎生産を通じた炭酸固定を促進すれば,より多くの二酸化炭素が植物プランクトンに吸収同化され,動物プランクトンによる捕食を通じて深海へと輸送されると期待されます。また植物プランクトンは雲の核となる硫黄化合物を生産することから,曇天を通じて温度上昇を制御できるかも知れません。プランクトンはこのように,人類の生存と繁栄にとって基盤となる食糧と環境の問題を解決する切り札として位置付けることが出来そうです。
 プランクトン教室では,様々なプランクトンの生理生態,生活史の解明を通じて,海洋生態系の仕組みを基本的に理解してもらいたい,そして上述した食糧生産,沿岸域の環境問題(赤潮やアオコ,貝毒),ならびに地球環境問題等への取り組みも視野に入れたいと考えています。プランクトン研究に興味を持ち意義を感ずる若い諸君を,北大プランクトン研究室は待っています。
<所属学会と主要な役員歴>

1) 日本プランクトン学会
・会 長 平成21年度-
・副会長 平成19-20年度
・評議員 平成 7-16年度
・英文誌Plankton Biology and Ecology編集委員長   平成13-17年度
・合同出版英文誌Plankton and Benthos Research初代代表編集委員長平成18年度
・合同出版英文誌Plankton and Benthos Research編集委員 平成19-20年度

2) 日本水産学会
・評議員 平成17年度-
・近畿支部評議員 平成 8-20年度
・水産環境保全委員会委員 平成11-21年度
  同副委員長 平成15-16年度
  同委員長 平成17-18年度
・環境問題調査小委員会委員長 平成19-20年度
・ 第5回世界水産学会議実行委員(セッション幹事) 平成18-20年度
・学会賞選考委員(環境部門)平成21-22年度

3) 日本藻類学会
・評議員 平成15-18年度
・和文誌「藻類」編集委員 平成9-20年度
・英文誌Phycological Research, Editorial Advisory Board委員 平成9-20年度
・第9回国際藻類学会実行委員 平成15-21年度

4) 水産海洋学会
・幹事 平成11-12年度,15-18年度,21年度-

5) 日本微生物生態学会
・評議員 平成11-14年度
・編集委員 平成7-12年度
・学術誌「日本微生物生態学会報」編集幹事 平成9-10年度

6) 北太平洋海洋科学機構(North Pacific Marine Science Organization: PICES)
・ WG (Working Group) 15 on Ecology of Harmful Algal Blooms (HABs) 日本国委員
平成12-15年度
・PICES Section on Harmful Algal Blooms 日本国代表委員 平成16年度
・PICES Section on Harmful Algal Blooms 日本国委員 平成17年度-

7) International Society for the Study of Harmful Algae(国際有害有毒藻類学会)
・Council member(国際評議員) 2008-2010

8) 日本海洋学会

9) 日本海洋学会沿岸海洋研究部会

10) 瀬戸内海研究会議

11) 国際藻類学会

12) アメリカ藻類学会
<委員等>

1)赤潮・貝毒対策支援強化検討委員会委員((社)日本水産資源保護協会)平成7-19年度
2)内湾水域生物環境検討専門委員会委員(通商産業省工業技術院中国工業技術研究所)平成9-13年度
3)ヘテロカプサ赤潮等除去技術検討委員会委員((社)マリノフォーラム21)平成14-17年度
4)赤潮防除技術開発検討委員会委員((社)マリノフォーラム21)平成14-18年度
5)赤潮 / HABアドバイザリ・コミティ委員((財)環日本海環境協力センター)平成14年度-
6)先端技術を活用した農林水産研究高度化事業専門評価委員会委員((社)農林水産技術情報協会):平成17-18年度
7)(独)水産総合研究センター研究推進担当者:平成17年度
8)地球環境研究総合推進費「個体群分子タイピングによる有害微細藻類の人為的グローバル化の実態解明手法の開発」外部評価委員(環境省):平成18-19年度
9)瀬戸内海の環境保全(英文版)編集委員会委員((財)国際エメックスセンター)平成19年度
10)関西国際空港環境アセスメント委員会委員((財)関西空港調査会):平成19-20年度
11)琵琶湖トラスト者学委員会委員長(NPO法人琵琶湖トラスト):平成20年度
12)地球温暖化による沿岸漁場環境への影響評価・適応策検討調査委託事業検討委員:平成20-21年度
13)兵庫県のり漁場環境改善検討会委員(兵庫県):平成20年度-
<研究歴>

平成21年4月から
 北海道大学大学院水産科学研究院海洋生物学講座の教授に着任,水産学部学生の教育,大学院水産科学研究科院生の研究指導にあたっている。研究題目としては,「アマモ場及び藻場が有する有害有毒プランクトン発生の予防機能の解明」,「湖沼におけるアオコの発生機構と微生物を用いた発生防除技術の開発」,「珪藻類の生活史戦略と個体群動態に関する研究」,「有毒プランクトンが生態系へ与える影響」などに取り組んでいる。

平成6年10月から平成21年3月
 京都大学大学院農学研究科応用生物科学専攻海洋環境微生物学分野准教授として,瀬戸内海や九州沿岸海域を主要対象とし,有害有毒プランクトンの生理生態,生活史の基礎研究を通じて,発生機構と予知技術の開発研究に取り組んできた。また,有害有毒赤潮生物の発生を制御する殺藻細菌に注目し,発生予防対策研究に取り組んだ。特に海藻やアマモの表面には,膨大な密度の赤潮生物殺藻細菌が付着生息するという事実を世界で初めて発見し,藻場やアマモ場の造成が重要であることを示した。さらに湖沼においては,アオコの発生を抑制する殺藻細菌が,ヨシ茎表面のバイオフィルム中に膨大に生息することも初めて見出し,ヨシ帯の造成を通じたアオコ防除の可能性を提案した。
 麻痺性貝毒では原因有毒種のシストがその分布拡大や,ブルームの発生に大きく貢献するが,シストの定量的研究は泥粒子により困難を極める。そこで重要なAlexandrium属のシストの計数法(primulin染色法)を開発し,西日本の各海域におけるシストの分布を明らかにした。本法は現在世界基準の計数法として広く用いられ,大きく貢献している。下痢性貝毒については,原因生物が渦鞭毛藻のDinophysis属の数種とされているが,瀬戸内海等の西日本海域では原因種が高密度でも貝は毒化せず,謎が多い。Dinophysis属の季節的消長を調べたところ,細胞表面への小型プランクトンの付着や食胞の発達を確認し,さらに小型のクリプト藻類の消長と関連する事実を見出した。下痢性貝毒の発生には混合栄養の能力が貢献することを示唆した。貝毒の問題に関するシンポジウムを企画開催し,最新の知見を集めた「貝毒研究の最先端」を水産学シリーズとして2007年に編集発刊した。

昭和55年4月から平成6年9月まで
 水産庁南西海区水産研究所赤潮環境部において,世界で最大の赤潮被害(魚類の斃死)を与えるラフィド藻シャットネラ(Chattonella)の生理生態,生活史研究に取り組み,シャットネラの越冬シストを瀬戸内海の海底から初めて発見した。ラフィド藻類の生活史解明における世界初の成果であり,その後ヘテロシグマ(Heterosigma akashiwo)の耐久シストも発見した。シャットネラは夏季に発生する赤潮生物であるにもかかわらず,シストの成熟(発芽能の獲得)には冬季の低水温期が必須である事などが判明した。また,珪藻類においても休眠期細胞が海底泥中に膨大に(時に1gの泥中に100万以上)存在することを,定量的に世界で初めて明らかにした。
 また沿岸域において,従属栄養性微小鞭毛虫類,植物性ナノプランクトン及び細菌類の分布と季節変化を調査することにより,従属栄養性微小鞭毛虫類の生息密度や現存量がわが国で初めて明らかにした。細菌の分布密度や現存量,生産速度と併せて新しい知見がもたらされ,海洋の低次生物生産過程における微生物ループ(Microbial loop)の重要性を定量的なデータに基づいて提唱した。

<学 位>
平成元年7月 京都大学農学博士

<受 賞>
平成4年(1992年)4月 日本水産学会賞平成3年度奨励賞

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 Copyright 2003 Plankton Laboratory
北海道大学大学院 水産科学研究科 多様性生物学講座(プランクトン教室)

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大学院水産科学院海洋生物資源科学専攻
(授業)
・浮遊生物学特論
(博士前期課程I期)
・海洋生物学特論
(博士前期課程II期)

水産学部海洋生物科学科(授業)
・プランクトン学
(3年次2学期)

水産学部海洋生物科学科(実験・実習)
・基礎乗船実習
(1年次1学期)
・基礎水産学実験
(2年次2学期)
・海洋生物科学基礎実験
(2年次2学期)
・海洋生物学実験
(3年次1学期)
・乗船実習
(3年次1学期)