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山口准教授が平成23年度科学技術分野の
文部科学大臣表彰−若手科学者賞を受賞

 山口 篤准教授が「海洋表層から深層に及ぶプランクトン群集構造の研究」により、平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰−若手科学者賞を受賞しました。受賞にあたっての同氏の功績等を紹介します。

 海洋表面積の92%は水深200 m以深の外洋域によって占められています。外洋域の物質循環はプランクトン生物によって行われています。プランクトン生物は植物、細菌、単細胞動物および多細胞動物まで多岐に渡っています。プランクトン全分類群を含む群集構造に関する知見は、海洋生態系を理解する上で必要不可欠ですが、特に深海に及ぶ研究はこれまで世界的に例がありませんでした。
 同氏は、西部北太平洋亜寒帯域から亜熱帯域の海洋表層から深海底直上(最大5,800 m)にまでおよぶ全プランクトン生物の定量採集を行い、表層から深海に及ぶ主要分類群とサイズ組成が亜寒帯域と亜熱帯域で大きく異なることを明らかにしました。亜寒帯域と亜熱帯域における主要分類群とサイズ組成の違いは、表層の水温躍層の発達と栄養塩濃度の海域差による、エネルギーの始点である植物プランクトンのサイズ組成の違いに起因していることを示しました。また同氏は、世界に先駆けて亜寒帯から亜熱帯までの表層から深海に及ぶ全プランクトン生物量を定量評価し、その深度増加に伴う生物量減少率は分類群によって異なり、細菌<単細胞動物<植物<多細胞動物の順に大きいことを明らかにし、生物量減少率の分類群差は、各分類群の栄養生態に起因することを示しました。さらに、専門であるカイアシ類の種・発育段階同定技術を生かし、亜寒帯域における生物ポンプの主要駆動分類群であるカイアシ類の生態学的特徴を調査して、同属の種間で鉛直分布を変えて棲み分けしていることや、多くの中・深層性カイアシ類が若い発育段階では深い層に分布し、表層性カイアシ類とは逆の発育に伴う鉛直移動をすることなどを明らかにしました。
 これら一連の研究成果は、国際的にも非常に高く評価されており、海洋生態系の動態、生物多様性の維持機構および鉛直的な物質輸送量の評価などの重要課題の解明に大きく貢献するものと期待されています。

略歴等
平成6年3月 北海道大学水産学部水産増殖学科卒業
平成8年3月 北海道大学大学院水産学研究科水産増殖学専攻修士課程修了
平成11年3月 北海道大学大学院水産学研究科水産増殖学専攻博士課程修了
平成11年4月 株式会社 関西総合環境センター社員
平成14年4月 北海道大学大学院水産科学研究科助手
平成19年4月 北海道大学大学院水産科学研究院助教
平成20年4月 北海道大学大学院水産科学研究院准教授

関連リンク
文部科学省HP
「平成23年度科学技術分野の文部科学大臣表彰受賞者等の決定について」

北海道新聞(2011年5月21日)

北大時報(2011年5月号 [No. 686])

 

 Copyright 2003 Plankton Laboratory
北海道大学大学院 水産科学研究科 多様性生物学講座(プランクトン教室)

 

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