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建築ラッシュその後(PLO通信65号、2015年3月)
山口 篤
昨年のPLO通信(64号)では、管理研究棟の工事に伴い、2階にあったプランクトン教室の移転について、写真と共に紹介させていただきました。幾人かのOB・OGの方々から、その後どうなったのかという問い合わせもありました。一年経った今号(65号)では、移転後の研究室、新しく出来た研究施設、そして新造なった練習船おしょろ丸の紹介をしたいと思います。
まずは「管理研究棟の改修工事」です。これは学部正面の6階建ての大きな建物で、従来の鉄筋はそのまま再活用し、壁やパーティションなどの内装を新しくする工事です。向かって右側の港中学校側から「I区」、真ん中を「II区」そして、図書館側までを「III区」と3回に分けた工事を行っており、現在I区とII区の工事が終わっています。
ちょうどプランクトン教室は3階の右端からの4室で、I区とII区に入っており、教員実験室(322室-今井一郎教授、323室-山口)、学生・院生室(320室、321室)とも、現在全ての移転が終わっております。実験室や院生室とも、エアコンが完備されており、旧の建物であった、スチーム暖房が切れた後の寒さ(ガスストーブを点けたりして凌いでいた)は、過去のものとなりました。学生さんは24時間、いつでも使いたい時に来て、しかも暖かい環境で研究に励めるので、利便性のみで無く健康管理にも一役買っているのではと思われます。現在工事中のIII区は今年4月中旬ぐらいに終わり、これをもって管理研究棟の改修工事は終わる予定をしています。
現在、水産学部敷地内で古くよりある建物としては、講堂、水産資料館、そして標本館として使用している「旧北洋研」が挙げられます。このうち、以前にプランクトン教室が3階の右奥にあった「旧北洋研」の建物も、耐用年数が過ぎた経年劣化と、耐震強度が劣るとのことで、来年度に取り壊して、跡地に新しい標本館を立てる旨の計画が進んでおります。従来のプランクトン教室のあった研究室(旧北洋研3階、管理研究棟2階)は、これをもって姿を消す予定で、時代の趨勢とはいえ、やはり寂しい気持ちがあります。
ただ、旧来の伝統を活かしつつ、新成なった研究室で、新たな一歩を踏み出したプランクトン教室が、管理研究棟3階の右端(港中学校側)にあります。ご興味のあるOB・OGの方々には、ぜひお越しください。美味しい湯茶も用意してお待ちしております。部屋は変わっても皆様の帰ってこられる場所(プランクトン教室)として教室一同、存分に大事に守り育てていきますので、どうぞ今後ともよろしくお願い申し上げます。
「函館市国際水産・海洋総合研究センター」も、昨年6月に開所式が行われ、供用が開始されました。センター内には、北海道立函館水産試験場、公立はこだて未来大学、北大水産学部、北大北方生物圏フィールド科学センター、関連民間企業のラボや市民向けの施設、大きな講堂もあります。岸壁には、北大練習船の「おしょろ丸」、「うしお丸」そして道水試の「金星丸」も着岸する、一大研究拠点となっております。プランクトン教室では、センター内の「標本保管庫」の一部を使用させて貰っており、ここでは噴火湾やうしお丸で採集された試料を中心に保存・管理させて貰っています。昨年の8月2日には、第94回北水同窓会定期総会の講演会として、国立科学博物館の窪寺恒己博士による講演会「ダイオウイカ、奇跡の遭遇」も開催され、大盛況でした。一般市民も気軽に参加できる研究拠点施設として、今後さらなる活用が期待されています。
最後に紹介するのは、新造なった「おしょろ丸V世」です。長さ78m、幅13m、総トン数1598トンと、少し大きくなりました。プランクトン観測に関係するところでは、船尾にA-フレームが搭載され、マイクロネクトン等用の多段式中層トロールが導入されたのが特徴です。またラボも広く、様々なユーティリティスペースがあります。動力は電気推進なため、エンジン振動等が無く、穏やかな海況では動いているのか、停止しているのか分からないぐらい静かです。ちょうど自動車ではハイブリッドカーとして、エンジンと電気モーターを併用する自動車が人気ですが、新おしょろ丸では電気モーターのみですから、電気自動車と比すべきかと思われます。耐氷性もあり、今後北大に期待されている、北極海の航海にも大いに活躍するものと思われます。減揺装置やフィンスタビライザーを備えているのも、荒天に強い本船の特徴です。ぜひこれらの特徴を活かして、おしょろ丸V世では、マイクロネクトン生物の研究を発展させ、ビデオプランクトンレコーダー(VPR)など、従来のプランクトンネットよりも細かい空間解像度で生物現存量・サイズ評価の出来る、バイオイメージング機器を導入できたらと考えております。
ちなみに、旧おしょろ丸IV世は、民間の海洋調査会社が買い取ってくれて、今年の春には新装なって、また運用される旨、伺っております。この点も、ほっとひと安心というところです。このように昨年は、さまざまな建物、研究室および練習船が新しくなりました。OB・OGの皆様にはぜひ今後の教育・研究展開に大いにご期待ください。
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Copyright 2003 Plankton Laboratory
北海道大学大学院 水産科学研究科 多様性生物学講座(プランクトン教室)
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