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変わるものと変わらないもの(PLO通信56号、2006年3月)
山口 篤
わたしが函館のプランクトン教室に助手として戻ってきてから今度の4月で丸四年が過ぎます。この機会にこの四年間でなしえたことと、手つかずのままで残っている課題について考えてみたいと思います。
教室の見かけ上でこの四年間で大きく変わったところとしては、法人化を受けての廊下の荷物の撤去とそれに伴う部屋の改装が挙げられます。これは消防法をクリアーするために、今まで廊下に出ていたロッカー、インキュベーター類を全て室内に入れる、もしくは廃棄をするというものです。池田先生の考えでは、この機会にもっとより機能的な教室・実験室配置にしたいということで、いろいろ行いました(1:実験棟の標本室は廃止して実験室として使用する。収納標本は全て旧北洋研の標本館にて一括管理する。2:向かいの実験室の暗室のサイズを小さくして、インキュベーターを収納する。3:ホルマリンなど固定剤を使用したガラス器具類を洗う専用のシンクを教室に設置する。4:ロッカーは下足のみの小型なものにして、コートかけを設置する)。この整理を通して、前よりもかえってコンパクトかつ機能的な教室・実験室になったような気がします。
次にやるべきだと思っていたことは調査機材を収納しているプレハブ倉庫をより使いやすくする(整理すること)と旧北洋研の標本館の標本を需めに応じてすみやかに標本の所在が分かるように整理することでした。プレハブ倉庫は旧分析化学講座(現在の北大地球環境研究院)と半分ずつ使い分けていましたが、旧分析化学講座の札幌移転に伴い単なる物置のような使われ方をしていました。幸い渡辺 豊助教授らによって旧分析化学の荷物を出して貰いましたので、不要品の粗大ゴミ出し、大掃除の後についにプレハブ倉庫全面をプランクトン講座で使用することができるようになりました。
標本館整理は困難を極めました。しかし現在はほぼ年代順に並べ終わる作業も終了し、また過去の卒・修士・博士論文でのソート試料も年代順に並べることにより、「○○年の誰それさんのソート試料が見たい」という需めにもすみやかに対応できる体勢を整えることができました。また四年前にちょうど戻った時に教室に居られた青野君によって、「北大プランクトン教室、野帳-サンプル管理データベース」を作成して貰い、「海域や季節、またはサンプル種類(ネットのタイプ)」を入力すれば該当するサンプル(野帳)を検索できるデータベースも運用しています。
学生さんの共用パソコンについても、わたしが来た当初はあまりにもかわいそうな状態でした。現在ではWindowsとMacintoshそれぞれについてまず過不足のないマシンを各一台揃えるとともに、院生以上であればメールアドレスを持ち、自分の机でネットに繋げられる環境を、四年生であればメールアドレス取得はできないものの、自分の机でネットに繋げられる環境を整備しました。ただ机スペースの制限から、ノートパソコンのみの接続が認められています。教室ホームページも、詳しい岡崎君や佐野君の助けを借りてリニューアルし、2002年6月1日からの閲覧者数は2006年1月現在35000人になります(http://plo.fish.hokudai.ac.jp/)。このホームページは教室ゼミ要旨を閲覧できるようになっており、教室ゼミ要旨がこまめに更新されていることが好評を博している結果であると考えております。この更新は主に学生さんの「パソコン係」によってなされており、とても助かっています。
また2005年4月から日本プランクトン学会の事務局が北大のプランクトン教室に移転してきました。前任の東京海洋大の石井先生ほどにはうまくできないものの、新事務局としては会員サービスの向上を計るとともに、円滑な学会運営を行っていくのが使命と考えています。学会誌の残部が幾冊かあることから、新規加入してくれそうな団体に寄贈したりして、会員数の増加に努力したりもしています。
…以上、いろいろ教室で変わったところをいろいろ書いてきました。でも変わらないところはPLO、これは皆さんもご存じのとおりです。そしてプランクトンを研究する学生さんを支えていく熱い思いです。学生さんの勉強そしてよりよい研究環境を整えていくことこそわたしの役割であると考えています。思えばこれは院生時代から心がけてきていたことですので、変わらない点として挙げられることかと思います。積み残している荷物は多いものの、その多さにめげたり飽きることなく、あくまでも地道にやっていこうと思います。
追伸:そうそう、変わったことといえば個人的なところで結婚して大きく変わりました。わたしの部屋はとても綺麗です。ここでニヤリとされた方はかなりレアな体験をされた方かと思います。わたしもまさかあんなことになっているとは思ってもいませんでした。あれは故意ではなく事故ですので、お間違いのないように記して、深く引っ越し手伝いの御礼を申し上げます。
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Copyright 2003 Plankton Laboratory
北海道大学大学院 水産科学研究科 多様性生物学講座(プランクトン教室)
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