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親潮域における浮游性かいあし類
Eucalanus bungiiの生物学的・生態学的研究
嶋田(正傳)覚子(平成12年修士修了)
現在:北海道共和町立共和中学校教諭
 北の海において、かいあし類はネットで採集される動物プランクトンの大半を占めます。かいあし類は植物プランクトンや微小動物プランクトンを食べる一方で、サケ・ニシン・スケトウダラなどの北方回遊性魚類の主要な餌生物になっており、植物プランクトンによって生産された低次生物生産をより高次の捕食者へと転送する役割をになっています。研究対象としたEucalanus bungiiは亜寒帯域の北太平洋に優占するかいあし類で、頭部先端が逆三角形をしている特徴的な形態をしています(図 1)。

図 1. Eucalanus bungii
 北海道釧路沖の親潮域において約1ヶ月間隔の水深2000 mまでの鉛直区分採集を用いて個体群構造より生活史の解析を行う一方で、室内飼育実験を行い、産卵および初期発育速度の観察を行いました。親潮域においてEucalanus bungiiは4月から6月にかけて水深250 m以浅で産卵を行っていました。孵化したノープリウス幼生は表層で活発に餌を食べ、8月までに親の一つ前の発育段階のコペポディド5期まで成長します(図 2)。ノープリウス1期の体重は乾燥重量で0.43 μgでコペポディド5期の重量は303 μgですので、2〜4ヶ月の間に体重が約700倍になる、急速な成長であることが分かります。9月以降は水深250 m以深に潜って越冬し、翌年の2〜4月に親成体に発育し再び産卵を行う、1年1世代の生活史を持っていることが示されました。

 Copyright 2003 Plankton Laboratory
北海道大学大学院 水産科学研究科 多様性生物学講座(プランクトン教室)

 

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